素晴らしい女性です。彼女の伴侶もまた素晴らしい。

『RGB 最強の85歳』と『ビリーブ〜未来への大逆転』、どちらもアメリカ最高裁判所の判事で、最高年齢の86歳で現役のルース・ベイダー・ギンズバーグを取り上げた映画です。

日本では、最高裁判所の裁判官の名前は、衆議院選挙の際の最高裁判所裁判官国民審査で見ることはあると思いますが、裁判官が話題になることはほとんどないと思いますが、アメリカでは判事(日本においての裁判官)が変わる時はとても大きな話題となります。

アメリカでは、最高裁判所は政治的役割がとても強く、全米規模で変化をもたらす事件を扱います。近年では中絶や同性婚などアメリカという国のありようを変える案件を抱え、人々の生活も大きな影響を受けます。

最高裁判所で判決をくだす判事は9人、終身制です。大統領によって指名されるので、その時の大統領が共和党なのか民主党なのかで、保守派(共和党)の判事かリベラル(民主党)の判事なのか別れます。どちら側の判事が多数を占めるかで、判決に大きく影響を与えることにより、国民は最高裁判官判事の使命には、大きな関心を持っています。

2016年アントニン・スカリア判事の死去にともない、オバマ大統領が、リベラル系判事を指名しましたが、当時の上院は野党の共和党が多数を占めていたため、大統領退任時まで承認されず、結局一人定数不足のままの状態が1年超も続き、2017年ドナルド・トランプの最初の目玉政策として保守派の判事が就任することとなりました。

続いて去年、トランプ大統領が指名したカバノー判事が承認された時は、保守派の人々は喜びました。カバノー判事の就任により保守派が多数となり、保守派が支持する条例などが最高裁で認められる可能性が出てきたからです。このことにより全米で中絶を禁止する条例が(保守派の州から)提出されています。

このようなアメリカの最高裁の判事の持つ役割や背景を知っていると、ギンズバーグが今のアメリカでなぜ大人気となっているのか、2つの作品を通してとてもよく理解してもらえると思います。

ギンズバーグは任命を受けた26年前から、中絶を禁止するのは、女性の権利を認めないと表明している判事です。ギンズバーグは、1993年のクリントン政権発足時、最初の目玉政策として指名されました。アメリカの最高裁判所の女性の判事としては2人目となります。ギンズバーグがハーバードのロー・スクール(法学科)に入学した時は、男子生徒500人に対し女性は9人しかおらず、女性用のトイレもなかったそうです。


『ビリーブ〜未来への大逆転』は、そのギンズバーグが1970年代には常識であった連邦法にひそむ女性差別に闘い挑む物語です。(ハーバードからニューヨークのコロンビア大学に編入し)優秀な成績で卒業しますが、女性であるがために受けた様々な差別。

当時は女性だという理由だけで、法律事務所に雇ってもらえなかったのです。そのため大学で教授の職を得ます。そんなある日、実母の介護費用負担に関する所得控除が、女性しか受けられない事に悩む男性からの裁判を引き受け、伴侶の夫マーティンの絶大なるサポートを受け、闘いを挑んに挑んでいきます。

ギンズバーグは最高裁まで行った重要な性差別の案件を6件担当していますが、『ビリーブ〜未来への大逆転』でメインとなった案件は、最高裁まで行かなかった事件です。映画の脚本を手がけたギンズバーグの甥(マーティの姉の息子)によると、夫のマーティとの関係も描きたかったからだそうです。


『RBG 最強の85歳』では、おばあちゃんのパーソナルトレーニングのシーンから始まります。アメリカでは「RBGトレーニング」という本がベストセラーになったり、「RBG エクササイズ」で検索するとYouTubeでもたくさんの動画が見つかるくらい人気なのです。エクササイズだけでなく、Tシャツやマグカップなどが売り出され、『TIME』誌の表紙を飾り、『サタデー・ナイト・ライブ』で取り上げられるほどのムーブメントとなっています。

「RBG」というのは、ルース・ベイダー・ギンズバーグの頭文字(イニシャル)に当たるのですが、長く女性の権利のために闘ってきた彼女の動向を追うブロガーの(アメリカの有名なラッパー「ノトーリアスB.I.G」にかけて「ノトーリアスRBG」というブログがとても人気で、そこからRBGというのが多くの層に広まります。

このブロガー(女性)2人はドキュメンタリーにも出演しています。また、映画の製作関係者(プロデューサー、監督、撮影、編集、音楽、メイクアップなど)は全員女性です。まだ男女間の差がすごく残るハリウッドにおいて、性差別に対して闘い続けたギンズバーグをテーマに、このドキュメンタリーがもつ意味は深いと思います。

日本では有名な医科大学が女子の得点を減点して女子の合格率を操作していたことが判明し、女性への差別がまだはびこっています。アメリカのそういう時代に生きて、差別と闘ってきたギンズバーグの生き方は、今の日本でも共感を得るのではないでしょうか。

彼女の人生を、その生い立ちからなぞるには、50〜70年代を描いた『ビリーブ〜未来への大逆転』から先にご覧になっていただけるとわかりやすいと思います。逆に『RGB最強の85歳』から観ると、彼女の信念が半世紀前から揺るぎないことがわかっていただけると思います。

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