世界征服やめた
この世界に居場所を見つけられずに無力さが日に日に募る彼方。会社の同僚で、朝々として明るい性格の星野。ふたりの日常は、星野が選んだ決断によって大きく揺れ動いていくー。
幼少期から芸能の道を生きる北村監督が高校時代に出会い、「人生を変えてくれた」と感謝をささげる不可思議/won-derboyの楽曲を原案に、自ら企画脚本を兼任した念願の1本にして短編映画初監督作、それが『世界征服やめた』だ。 その渾身の企画を体現する仲間として声をかけたのは、現象化した「美しい彼」シリーズや『キングダム』シリーズ、そして 映画『ミステリと言うれ』といった話題作に次々と出演を続ける萩原利。そして「東京リベンジャーズ』シリーズや「遺 書、公開。』(2025年1月31日公開予定)などで頭角を現す堂日向。萩原はかつての快活さや気力をいつしか見失って しまった彼方の壊れかけた哀しみをまいから存分に漂わせ、膝堂は前半では気安さ、後半ではありったけの痛みを 放出する硬軟織り交ぜた熱演で観る者を引き込む。加えて、北村のオファーを快諾した井浦新が友情出演。製作陣に は、北村と『スクロール』やDISH//の「プランA」MVで組んだ映像作家・清水康彦、フォトグラファーとしてポカリスエットの広告から映画『正体』撮影まで手掛ける川上智之といったトップクリエイターが結集した。
多才な面々との協働で北村が監督として開花させたのは、世界観の構築ーいわば総合力の高さ。セリフに頼らず、雄 弁な余白や沈黙で等身大の“傷”を画面に宿らせる絶妙なストーリーテリング、彼方と星野以外の人物が静止するストッ プモーション的なシーンに象徴される遊び心、東京の街や会社の中にぽつんと人物を置き、引きのカメラで孤独感を演 出する画作り、彼方✕星野と足並みを揃えながら、一切の無駄を感じさせない締まった構成ほか、百戦錬磨と見紛う完 成度を見せつける。日本映画界を引っ張るトップ俳優にして、監督として踏み出した"大型新人”の鮮烈なるデビュー、その命の輝きを余すことなく受け止めていただきたい。
<ストーリー>
主人公・彼方(萩原利久)は、社会の中で生きる内向的な社会人。変化の乏しい日常をやり過ごす中で、「自分なんて誰 にも必要とされてないのではないか…・・」と自分の無力さを感じていた。そしてどこか飄々として、それでいて白黒をはっ きりさせたがる彼方の同僚の星野(堂日向)。星野の選んだ決断に彼方の人生は大きく揺れ動く。「死」の意味を知る 時、明日の選択は自分でできることを知る。世界征服という途方もない夢を追いかけるよりも、自分にしか描けない道がきっとある。世界征服やめた!
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