【IMW】お気楽探偵アトレヤ
AGENT SAI SRINIVASA ATHREYA
G
インド
スワループ R. S. J.
ナヴィーン・ポリシェッティ、シュル ティ・シャルマー
オフィシャルサイト


【IMW】お気楽探偵アトレヤ

前作は、ちょっと重かったですね。ここでちょっとインドらしいインド映画でひとやすみしましょう。いいですね、名前からしてお気楽そうな「お気楽探偵アトレヤ」。お気楽な感じではあるのですが、これまたインドの社会問題が題材となっていて、コミカルとシリアスがいい具合に混在しています。



【本作品の背景】
インドでは8割の人がヒンドゥー教を信仰しています。ヒンドゥー教の特徴のひとつに「輪廻」という考え方があります。命のあるものは死んでもまた転生し、前世の行いにより人や虫や動物などに生まれ変わると信じられています。死んでは生まれ変わり死んではまた生まれ変わる...輪廻転生は苦行のようなもので、解脱するには宇宙と自我が一体となる道を極めるということになり、そのためには悟りの境地に達することが必要となります。

修行をして悟りの境地に達しなくても、一般の人には聖なる川であるガンジス川(女神ガンガー)があります。ガンガーを流れる水は「聖なる水」で、ガンジス川で沐浴すると罪はどんな罪でも清められます。死んだ後、このガンジス川の聖地に死体(火葬後の骨)を流すと、輪廻から解放されるということで、死後ガンジス川に流されることはヒンドゥー教徒にとっては、最高のできごとなのです。

ガンジス川の最も有名な聖地、バラナシに行ったことありますが、ここでは沐浴している人の横で、ゴミが浮かび、(時には死体も流れていたりして)、その水で洗濯している人、歯磨きしている人、トイレとして利用している人などで溢れていて、聖なる川であるはずのガンジス川は美しいどころか、絶対に私は水に浸かりたくないと思わせるような濁り...。

バラナシのガンジス川のガート(水辺の沐浴場)にはくつろいでいる人たち、観光している人たち、物を売っている人たち、洗濯や歯磨きなど生活の一部として利用している人たち、聖なる川で沐浴している人たち、騙している人たち、お葬式している家族、死体を焼く火葬場、修行している人たち、物乞いしている人たち、死を待っている人たち、ヨガしている人たち...何もかもがあって、カオスでした。

とにかく、ヒンドゥー教徒の人にとって、とても重要なガンジス川。死んで流されることを望むことは特別なことではなくヒンドゥー教徒誰でも望むことなのですが、バラナシから遠くに住んでいる人たちにとっては簡単に叶うことではありません。

バラナシがあるのは、インドの東北部。ネパールとの国境です。本作品の舞台となっているアーンドラ・プラデーシュは、インドの南部。バラナシに遺灰を流してもらうには、とてもお金がかかるのだと思いますが、大切な人が亡くなったらお金をかけてでも、願いを叶えてあげたいと思うのは、万国共通です。

このようなヒンドゥー教の死生観を背景に、お気楽探偵アトレヤが事件に突っ込んでいくのですが、そこは全くシリアスでなくかなりお気楽に観ることができ、笑えるシーンもたくさんあって、最後までなかなか目が離せません!



【ストーリー】
オフィシャルページより) アーンドラ・プラデーシュ州の小都市ネッルールで探偵業を始めた若いアトレヤ。レイプ殺人事件を調査するうちに、線路脇で身元不明死体が多数見つかるという別の怪事件に絡めとられていき、彼自身が容疑者となってしまう。