さくら【永瀬正敏特集】
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日本
矢崎仁司
北村匠海、小松菜奈、吉沢亮、大友カオル、永瀬正敏
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西加奈子/小学館 (C)2020 「さくら」製作委員会

さくら【永瀬正敏特集】

累計55万部突破! 西加奈子の傑作が映画化。矢崎仁司監督が1つの家族を通してさまざまな感情を描く

長谷川家の3人の兄弟妹を演じるのは、北村匠海、小松菜奈、吉沢亮。旬にして実力を兼ね備えた主役級の若手俳優の共演が実現した。一家の次男・大学生の薫を演じるのは北村だ。映画のストーリーテラーの役割を担いながら、さまざまな愛と情を観察して自らも経験していく姿を好演。自由奔放で超美形の末っ子・美貴には小松。長男への深い愛に苦悩する心情を演じ切った。家族の中でも学校でも人気者の長男・一(ハジメ)には吉沢が選ばれた。光を放つ存在から影を背負う者へ、変わりゆく若者の苦悩をにじませた演技が光る。彼らの両親役には、日本映画界に欠かせない俳優、寺島しのぶと永瀬正敏。圧倒的演技力で若手をサポートする。長谷川家の人々と関わる女性キャラクターには、小林由依(欅坂46)、水谷果穂、山谷花純というフレッシュな顔ぶれが揃い、ジェンダーにとらわれない生き方をみせる溝口先史役に加藤雅也が挑んでいる。そんな俳優たちと負けず劣らずの演技をみせるのは、長谷川家の愛犬“サクラ”だ。どんなときも家族みんなを見守る視線やリアクション、どんなことも受け止める佇まい、この作品のタイトルが『さくら』である理由が伝わってくるみごとな演技をみせている。

登場人物の心情を奏でるアダム・ジョージ。ラストを彩る“東京事変”の主題歌という音楽の力

1匹の犬と5人の家族の心情をより豊かに伝える音楽。劇中音楽を担当するのは、クラシックピアニストのアダム・ジョージだ。薫が幼い頃を語るときに流れる柔らかなピアノの音色は、ときに家族団らんを語り、ときにそれぞれの切なさや哀しみに寄り添い、ときに言葉を発しない“サクラ”の心情を代弁する。クラシックピアノと『さくら』の世界観はとても相性がいい。そして、大晦日に起きる事件の後に長谷川家に訪れる奇跡、それに続くような世界観でエンディングを彩るのは、東京事変がこの映画のために書き下ろした新曲「青のID」だ。「生きている負い目」「生きている値打ち」「生きている証明」という歌詞からも伝わってくるように、生きることには、嬉しさも苦しさもある、笑ったり泣いたりもする、そんな「生きる」ことの意味を問いかける、この映画のメッセージを受け止めた主題歌になっている。



この映画の原作は累計55万部を突破する西加奈子の同名小説。2015年に「サラバ!」で直木賞を受賞、いまや日本を代表する小説家のひとりとなった彼女が、デビュー作「あおい」の次に発表した「さくら」の映画化だ。映画化は「きいろいゾウ」「円卓」「まく子」に続いて4作目となる。この映画に登場するのは、サクラと名づけられた1匹の犬と長谷川家の5人、そして彼らそれぞれにとって大切な人たちだ。日々の幸せ、初めての恋、思いがけない事故、愛するがゆえの葛藤……普遍的に映る家族の日常は決して普遍的ではなく、ひとりひとりの物語が、ひとつひとつの出来事が、心にずっしりと突き刺さってくる。そんな西加奈子が紡ぐ家族の物語に「私の映画史がすべて入っている」と、その世界観に惹かれ監督を引き受けたのは矢崎仁司。『ストロベリーショートケイクス』(06)、『スイートリトルライズ』(10)、『太陽の坐る場所』(14)、『無伴奏』(16)など、人間の複雑な感情を映し出すことに長けた矢崎監督が、長谷川家という1つの家族を通して、夫婦、兄弟妹、親子、初めての恋、一途な愛、生と死、そして生きることの意味を丁寧に描いていく。心に深く刻まれるであろう家族の物語がまたひとつ誕生した。