ヒトラーに盗られたうさぎ
Als Hitler das rosa Kaninchen stahl
G
ドイツ
カロリーヌ・リンク
リーバ・クリマロフスキ、オリバー・マスッチ、カーラ・ジュリ、マリヌス・ホーマン
オフィシャルサイト
2019SOMMERHAUS FLIMPRODAKTION GMBH/LA SIALA ENTERTAINMENT GMBH/NEXTFILM FILMPRODAKTION GMBH&CO.KG/WARNER BROS.ENTERTAINMENT GMBH

ヒトラーに盗られたうさぎ

旅好きの私は、ベルリンから、スイスの大自然の中、そしてパリ、ロンドンと素敵なところに住めていいなぁ、と思ったのですが、これは他人事だから思えることですよね。迫害されるから、お金がないから、そういうネガティブな要因での引っ越しはすごく辛いはず....ただ、ユダヤ人迫害の話は、映画や小説や本は暗いものが多い中、本作品は明るさがありました。素敵な笑顔と、あどけなさと逞しさを兼ね備えた主人公のアンナを演じたリーバ・クリマロフスキが素晴らしい! 

子供(そして子供の立場では子供時代)は宝物 ー この映画を観ていて、すごくそう思いました。暗く辛い不穏な空気の中で、戦争とか迫害とか貧困とか生活が脅かされている中で、慣れたと思ったらまた新しい国へ。住居が変わるだけでなく、文化も変わるし、さらに言葉も変わる。



環境の変化に揉まれても、明るくポシティブに受け止めるアンナを見てると、子供ってすごいなぁ、尊いなぁ、そういう子供を宝物みたいに守るのが大人なんだなぁと思いました。そういう意味では、アンナたちの両親は、亡命して新しい国へ移り住むたびに「新しい国はこんなに美しいね」と肯定的に説明していたそうです。



戦時中に子供時代を過ごさなければならなかった子供たちは全員不幸かというとそうではなくて、ネガティブな状況の中でポシティブに育てられ、好きな絵を自由に描いていたアンナはその後イギリスで「ヒトラーにぬすまれたももいろうさぎ」という絵本を出版するジュディス・カーがモデルとなっています。

戦争は国と国が大人の事情で起こすものだと思うのですが、その中にあって子供たちがどういう状況に置かされるのかを見ると、ますます戦争はあってはならないと強く思います。同じく第二次世界大戦中にユダヤ人迫害が起きる中で過ごした少女の話『この世界に残されて』と見比べて頂きたいです。『この世界に残されて』は 3/19より当館にて上映予定です。