MISS ミス・フランスになりたい!
Miss
G
フランス
ルーベン・アウベス
アレクサンドル・ベテール、パスカル・アルビロ 、イザベル・ナンティ、ティボール・ド・モンタレンベール
オフィシャルサイト
2020 ZAZI FILMS - CHAPKA FILMS - FRANCE 2 CINEMA - MARVELOUS PRODUCTIONS

MISS ミス・フランスになりたい!

2016年にパリでジャン・ポール・ゴルチェの(ウィメンズの)ファッションショーでモデルをやったアレクサンドル・ヴェテールが主演を務める本作。ミス・フランスになりたいと夢を叶えようと頑張る主人公なので、美しいのは当たり前ですが、スタイルもいいし、いやもうびっくり、素晴らしい!



このような女性の美しさを競うミスコンテスト、女性を見た目で判断することに対する批判があります。もちろん、内面を問うような審査基準もあるのですが、それではなぜ水着審査がなくならないのか。

また、「美」の基準が、特定の文化で美しいとされているものに偏っているという見方や、未婚(ミス)でなければならない理由はなんなのか、ルッキズム(外見で人を判断する考え方)を助長しているなどの意見があり、性別で差別を行わないようジェンダーイクオリティ(「男女共同参画」という言い方をするのですね!)の考え方からすると問題があると思われています。



それでも、ミスコンテストでグランプリを取りたいと夢見る人たちもたくさんいて、その中で本作品のような作品も生まれるわけで、そういう意味では、本作品はミスコンテストの根本を揺さぶっているのかもしれません。

以下、アレクサンドル・ヴェテールについて(映画の冒頭ですぐにわかることではありますが、本作のことを事前情報なしで観られたい方は、少しネタバレになりますので、鑑賞後にお読みください)










アレクサンドル・ヴェテールについて(映画の冒頭ですぐにわかることではありますが、本作のことを事前情報なしで観られたい方は、以下少しネタバレになりますので、鑑賞後にお読みください)










本作品のアレックスやアレクサンドル・ヴェテールが(性転換を行いたい)トランスジェンダーなのかというと、違うのだそうです(パンフレットのルーベン・アウヴェス監督のインタビューより)。では、シスジェンダーなのかというと・・・VOGUEのインタビューです。

質問:あなたはご自身のことをシスジェンダーの男性だと思っていますか? (シスジェンダーというのは、生まれた時の性別と自分の認識している性別が異なる「トランスジェンダー」の反対語にあたるのですが、シスジェンダーは生まれた時の性別と自分の認識している性別が同一の人のことです。)

アレクサンドル・ヴェテール:いい質問ですね。私はシスジェンダーである、とは思っていません。私がどういう存在になりうるのかということについては明確にわかりませんが、それでも私にとって最も大切なことは、私自身をあえて何かに特定しないことで、私自身の余韻を残し一定の枠に閉じ込めないでいることです。自由でありたいし、自由に生きたいし、自由にいろいろなことを経験したい。きっと、私はこの生き方を通して性別やアイデンティティを変えることのできる人なんです。だから、(こうだとかああだとか)そういうことを主張しなくていい方がいい。

シスジェンダーとしての定義に関して言えば、私はその定義位に当てはまるタイプではないでしょう。とりわけ、私ではないアイデンティティに縛られたくはありません。私は多様な社会に生きていて、このような問題は私個人の問題でとてもプライベートなことなので、他者がとやかくいうような問題ではないといいと思っています。いずれにせよ、私のアイデンティティが私自身がどう考えるか、私の仕事がどうあるか、私の自己追求などを変えるものではありません。

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要するに、彼は彼自身であるということは、彼が女性性であろうとなかろうと男性性であろうとなかろうと、彼の性別に関係なく、彼は彼だ、ということですよね。昨今の世の中、LGBTqへの理解が高まり、それぞれの性的指向や性自認を認めようという動きがありますが、究極なことを言えば、そういう性的指向や性自認すら気にしなくていい世の中になるのが一番だということなんだろうなぁ、と漠然と思いました。

それにしても、化粧の力ってすごいですね。お化粧なしで男性の服を着ているときのアレクサンドル・ヴェテールと、お化粧して女性の服を着ているアレクサンドル・ヴェテールを見比べて、改めて化粧の力を感じました。