ビーチ・バム　まじめに不真面目

『パーム・スプリングス』はカリフォルニアのバケーション（リゾート）地ですが、こちらはアメリカ大陸の反対側（カリフォルニアがある西海岸に対して、東海岸側）に位置するフロリダのバケーション地のお話です。



舞台はフロリダのリゾート、キーウエストやマイアミ。本作品で出てくる豪邸がマイアミの設定だと思うのですが、一口でマイアミと言ってもかなり広く、貧しい地域もあればお金持ち地域もあるし、観光地になっているところもあれば、観光客なんて全く行かない地域もあります。

観光客が一番いくのは、マイアミビーチだと思うのですが、マイアミのダウンタウンからマイアミビーチに行く途中に、むっちゃ豪邸だらけの小さな島、その名もスターアイランド。芸能人の豪邸もたくさんあります。（観光として島を巡るツアーもあると聞きました。）なので、マイアミの設定のフロリダライフ、あれはスター並みのもの、っていうことですね。



原題の「Beach Bum」の「Bum」には、ホームレス的な意味合いがあって、仕事など何もせずにフラフラしている人のことを指します。そういう訳で、ビーチバムというタイトルの本作、フロリダのキーウエストやマイアミのビーチで、フラフラだらだら、勝手気儘にフラフラしている人のお話なのですが、そのあたりサブタイトル「まじめに不真面目」に凝縮されていて、本当にまじめに不真面目している人のお話なのです。



よくも悪くも、フロリダでの生活はゆるいです。島ライフに近い感じでしょうか。マイアミは大陸の東側にあるので、海に沈む夕陽は見られないのですが、キーウエストは島なので、島の西側に行くと海に沈んでいくサンセットが見られます。

アメリカの最南端に位置しており（本土最南端ポイントっていう観光名所があります）周りは美しい海（多分カリブ海）にあるキーウエストの夕陽はとても美しくて夕陽の時間になると、夕陽ベストスポットに人がわらわら集まってきて、太陽が海に沈んでいくのをお酒を片手にのんびり眺める、、、そんな時間を楽しめます。（マイアミは大陸の東側にあるので、海に沈む夕陽は見れないのです）

普段はすごいダラダラしているのに、夕陽をみるためなら重い腰を動かして太陽が沈む前に夕陽を見にいく、それもお天気だったら毎日でも。夕陽が1日の最大のイベントか、っていうくらいの勢いだけど、それくらい海に沈んでいく太陽が織りなす空のグラデーションは、毎日違った色を見せてくれて、飽きないし、太陽が沈んだ後もオレンジから濃紺へと空の色が移り変わるのを、中のいい友達と並んで座って眺める、、、そんな贅沢な時間を楽しむのがフロリダでの過ごし方（のひとつ。若いと夕陽そっちのけでビーチでパーティ三昧という楽しみ方もあります。）

フロリダでの生活って、ニューヨークみたいな都会の娯楽はないので夕陽を見るとかを娯楽にせざるをえないところがありましたが、今ではそんな何もしてない無駄なような時間こそ贅沢だったんだなぁと思います。今回は作品自体について全くふれませんでしたが（本当はもっとスヌープさんについてや、ピンクが似合うダメ男のマシューの役の幅広さとかにも触れたかったのですが、そこは、もう、スクリーンで堪能してください。ストーリーに関しては、サブタイトルがかなりいい仕事をしている通り）フロリダでクソがつくほどマジメに不真面目しているオトナの話、ぜひ劇場でご覧ください。