アンモナイトの目覚め
Ammonite
R15+
イギリス
フランシス・リー
ケイト・ウィンスレット、シアーシャ・ローナン、ジェマ・ジョーンズ、ジェームズ・マッカードル
オフィシャルサイト
The British Film Institute, The British Broadcasting Corporation & Fossil Films Limited 2019


アンモナイトの目覚め

みなさま、ケイト・ウィンスレットとシアーシャ・ローナンですよ!!!! もう、それだけで、本作品、観ますよね? よね? よーねっ? ティモシー・シャラメとシアーシャ・ローナンの組み合わせも美しかったですが、ケイト・ウィンスレットとシアーシャ・ローナンも素敵です♡



さて、本作品でケイト・ウィンスレットが演じるメアリー・アニングは実在する人物で、1799年イギリス南部の海沿いにあるライムリジスの貧しい一家に生まれました。父親は家具職人でしたが、海で発掘した化石を家の前で観光客に売って家計の足しにしていて、メアリーも父と一緒に発掘を手伝っていました。

ある時、父親は発掘の際に大怪我を負いそのまま結核で無くなります。元々貧しかった一家の父親が病死したあとの生活は散々で、生きていくのも大変な状況だったので、メアリーは子供ながら海岸で化石を売って生活を支えました。

メアリーが12歳の時に、変わった形の化石を見つけ、根気よく全ての化石化した骨を発掘しました。それは、半分トカゲで半分魚見たいな変わった生き物、クチオサウルス(魚竜)のものでした。この発見は、(当時は絶滅した生物がいるとは考えられていなかった)当時の絶滅種に関する討論を加熱させることとなりました。(ダーウィンの進化論をまとめた『種の起源』は1859年)



それから10年後、メアリーが22歳の時にプレシオサウルス(首長竜)を発見した時は、あまりに独特の形をしていたため作り物だという専門家もいました(数億年前に恐竜という生き物が地上にいたことを人類が初めて知ったことになる化石です)。これは後に非常に貴重な大発見だと認識されることになるのですが、当時は女性が地質学の分野で活躍することはありえないことだったので、メアリーの功績にはならず、彼女は学会で紹介されることもなく貧しいまま47歳で亡くなりました。

今日では彼女の絶え間ない努力による功績は認めれ、ロンドン地質学会の名誉会員となり、古生物学者の功労者として讃えられています。英語の早口言葉に「She sells sea shells by the sea shore.(彼女は海岸で貝殻を売る)」というのがあるのですが、これはメアリー・アニングのことだという説もあるそうです。(日本語だと「ブスバスガイド、バスガス爆発」のガイドさんにモデルがいるような感じでしょうか)

メアリー・アニングの伝記に関しては、BBCの「メアリー・アニングの実話:恐竜の発見に貢献した少女のストーリ」というメアリー・アニングが生まれ育ったライムリッジの砂で描かれた動画をまとめました。



シャーロット・マーチソンも実在する人物のようで、メアリーとも交流があったそうです。メアリー・アニングの人生、当時の学会での女性の地位や大黒柱を失った家庭の実情、貧困世帯が受けられなかった教育についてなどにフォーカスしたストーリーでもよかったのでしょうが、「そこ」ではないところにフォーカスしたかったところが、フランシス・リー監督の感性なのでしょう。

厳しい生活環境、労働者、叶わぬ恋などのテーマは『ゴッズ・オウン・カントリー』から変わらないものです。昨年公開のフランス映画、『燃ゆる女の肖像』とかなりかぶって、あちらに分がある感は否めませんが、こちらの最大の見所はケイト・ウィンスレットとシアーシャ・ローナンの素晴らしい演技です。ぜひ劇場にてお楽しみください。