戦場のメリークリスマス
Merry Christmas Mr. Lawrence
なし
日本・イギリス・ニュージーランド合作
大島渚
デビッド・ボウイ、トム・コンティ、坂本龍一、北野武
オフィシャルサイト
大島渚プロダクション


戦場のメリークリスマス

名作って、やっぱり名作ですね。40年ほど前の作品ですが、時代を超えて今も色褪せない素晴らしさが伝わるのが名作と言われる所以なのでしょう。

この作品、いろいろな解釈ができる作品だと思うのですが、大きなテーマは戦時中に捕虜収容所という特殊な状況に閉じ込められて生活するという「極限状況での人と人のつながり」なのではないかと思います。敵と味方、規律と自立、遵守と配慮、恥と尊厳、生と死。これらのものは相反するようで、実は紙一重でもあるっていう極限さ。



人と人のつながりには、ハラキリした日本兵とオランダ兵の関係や、ハラと(セリアズをこっそり殺そうとした)ハラの腹心の部下との関係や、セリアズとローレンスの関係、セリアズとセリアズの弟の関係とイギリスの寄宿校での関係など、いろいろなところに「男と男の人間関係」があります。

でも、メインは英語のタイトル『Merry Christmas, Mr. Lawrence』から読み取れるように、「ハラ(タケシ)x ローレンス(トム・コンティ)」の関係だと(私は)思っています。(だから、チラシが、ピンクをバックに花と刀で「ヨノイ(坂本龍一) x セリアズ(デビッド・ボウイ)」なところがちょっと納得いかないのですが、、、もちろん、この二人の関係や感情もかなり深いのですが)



ストックホルム症候群(誘拐犯などと長時間過ごすことにより、被害者が加害者に寄り添った感情を抱く現象)などにも代表されるように、(監禁や戦場などの)極限状態で人と人が同じ空間で長い時間を一緒に過ごすと、好きとか嫌いとか単一の感情だけでは表現できない「つながり」が生まれ、その感情を個人がどのように昇華するかが人としての生き様につながるのかなぁと。

どの立場からどの視点から観るか、どういう心境の時に観るか、いくつの時に観るか、どういう世情の時に観るかで違った思いが浮かぶ、そういう奥深さが、やっぱり名作にはあるなと改めて思いました。



今回『戦場のメリークリスマス』と『愛のコリーダ』が2023年に国立映画アーカイブ(旧:東京国立近代美術館フィルムセンター)に保存されることになったので、これが最後のロードショーになるのだそうです。この機会にぜひスクリーンで名作をお楽しみください。

ちなみに国立映画アーカイブは国立美術館なので、観覧料を支払って入館できます。東京都中央区京橋 3-7-6

<こんな見方もあります> 内藤剛志が出てるのに気づいてびっくり。実は捕虜の中にピーター・バラカンがいたり、日本兵の中に三上博史がいるらしいのですが、それまた気づかず。。。内田裕也もわかりませんでした。探せる方は探してみましょう!