ブラック・ボックス 音声分析捜査
『ギルティ』っぽいのかと思ってみたら、結構違いました。それにしても、調香師とか音声分析捜査官とか、こういう五感のひとつを研ぎ澄まして行う仕事があって、具体的にどういうことをしているのかというのを映画を通じて知れるって、おもしろいですよね。
さて、フランスのサスペンス映画ですが、ドタバタハラハラな感じではないですが、割とアクティブにストーリーは動きます。抑え気味で地味ですが、ずっと緊張感が続いて最後までドキドキ。ラストは好き嫌いハッキリ分かれそうだけど、ハリウッドでリメイクされたら(同じ結末だとしても)もっと派手な見せ方になるだろうなぁと思ったり。
音はもちろん重要なファクターですが、それ以外にも乗客のSNSの写真なんかも上手く使っていて、それがとっても「今」らしいなぁと思いました。
冒頭のコックピットから機体の最後尾にあるブラックボックスまでのロングショットや、主人公の心の揺れとシンクロするようなカメラワークや、音に過敏な主人公の気持ちが伝わってくるような音の使い方は絶品です。真実が明かされていく過程は、情報が限定されているので、予想外のことが起きるのも当たり前で、まぁちょっとご都合主義かなと思わなくもないけど、それでも丁寧に描ききっているので、とてもおもしろいです。
とにかく最後の最後まで(なんならフランス映画らしく、最後終わってからの余韻も)楽しめる良質のサスペンスです。この作品、音響がいい映画館で観たら臨場感たまりません!!(でも、すごくいいヘッドフォンして観るというのもそれはそれでアリだろうなと、映画館関係者なのに思ったことはナイショです。まずは)ぜひ映画館でお楽しみください。
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