パリ13区
Les Olympiades
R18+
フランス
ジャック・オーディアール
ルーシー・チャン、マキタ・サンバ 、ノエミ・メルラン、ジェニー・ベス
オフィシャルサイト
ShannaBesson (C)PAGE 114 - France 2 Cinema

パリ13区

芸術的なアール・デコ建築物の写真のようなアングルから始まるオープニング、「さすが、フランス映画」な感じのオシャレさ。そして、高層ビルに住むパリの人々の生活の一部を垣間みる...、からの、始まって2分で結構キョーレツ。白黒なのもエレクトロな音楽もかっこいいけれど、前半は「こんな話とは!!」って、ちょっと引き気味に観ていたのですが、気づけばなんだかグイッと引き込まれていました。

パリって、全部6階建てに統一されていて高層ビルはないと思っていたら、再開発された13区には高層団地があって、そのうちの一つ建物の名前が原題の「Les Olympiades(オリンピアード)」。この13区には中華街もあるらしく、アジアの移民が多く住んでいる区のようです。



体を通して心もつながっているように感じたり、心が寂しいから体のつながりを求めたり、複雑なようでシンプルな、でもなかなか難しいミレニアル世代のレンアイ模様。話がどこに向かっているのかわからなくなるし、つかみどころがなくなるけれど、本作品のテーマって「不器用な愛」なんじゃないかと。愛っていうのは捉えどころがなくて不確実だけど、やっぱりみんな求めているのよね、きっと。という感じで、イかれたストーリーかと思いきや、愛のある話でした。



白黒なのに、ちょっとだけカラーになります。そのカラーになるシーンがまたまだ過激なシーンで、こういう演出も前進的。最近の白黒でミレニアル世代を描いた作品といえばアマリア・ウルマン監督の『エルプラネタ』。『パリ13区』もミレニアム世代の監督なのかと思いきや、ジャック・オディアール、70歳! ちょっと、衝撃でした。(が、日系アメリカ人のグラフィックノベルが原作で、共同脚本の一人は『燃ゆる女の肖像』のセリーヌ・シアマです。)メインキャラクターのひとりであるノラ、どこかで観たなぁと思っていたら、『燃ゆる女の肖像』のマリアンヌ役のノエミ・メルランです。



R18+の作品ですが、とても不思議な魅力がある作品です。フランス映画好き、今泉作品好き(は、好きそう、と誰かが言ってました)、ちょっと変わった恋愛もの好きさん、劇場でお待ちしております。