ぜんぶ、ボクのせい
なし
日本
松本優作
白鳥晴都、川島鈴遥、松本まりか、若葉竜也
オフィシャルサイト
2022「ぜんぶ、ボクのせい」製作委員会


ぜんぶ、ボクのせい

現代社会の中で愛と希望を渇望する少年の行方は 鮮烈なラストに心揺さぶる衝撃作が誕生!

近年、社会問題を取りあげながら、そこで懸命に生きようとする子供達の姿を見つめた描いた作品が話題を呼んできた。『万引き家族』(18年)、『MOTHER マザー』(20年)、『マイスモールランド』(22年)などだ。そして今、一人の少年が孤独な人々と出会い成長する姿をみずみずしい感性で捉えたのが『ぜんぶ、ボクのせい』だ。監督・脚本を手掛けたのは、秋葉原無差別殺傷事件をモチーフにした『Noise ノイズ』(19年)が国内外の映画祭で話題を呼んだ松本優作。日本映画界の新鋭が、力強い語り口と鮮烈な映像で少年と孤独を抱えた人々の交流を描き出す。



主演の優太を演じるのは、オーディションで抜擢された15歳の新人、白鳥晴都。演技未経験ながら瀬々敬久監督の映画『とんび』(22年)でスクリーン・デビューを果たした白鳥は、2作目にして主演の座を射止めた。繊細な佇まいのなかに時折見せる鋭い眼差し。強烈な存在感を発揮して複雑な内面を持った優太を見事に演じ切り、本作で大きな注目を浴びることは間違いない。 一方、誰にも言えない苦しみを抱えながら優太に優しく接する詩織を演じた川島鈴遥は、『ある船頭の話』(19年)で主役を演じて第34回高崎映画祭最優秀新人女優賞を受賞。現在ドラマや映画で活躍している期待の女優だ。そして、飄々としながら心に深い傷をもつ坂本を演じたのは、唯一無二の個性で日本映画界を代表する名優、オダギリジョー。近年、『ある船頭の話』(19年)「オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ」(21年)で監督としての才能も発揮しているオダギリが2人の新人の熱演をしっかりと支えて、3人の息があった共演から目が離せない。その他、松本まりか、若葉竜也、仲野太賀、木竜麻生など多彩なキャストが参加して骨太な人間ドラマを生み出している。



また、映画のエンディングで流れるのは、日本のポップスを代表する伝説的なミュージシャン、大滝詠一の作詞作曲による名曲「夢で逢えたら」。吉田美奈子、鈴木雅之、原田知世など様々なシンガーに歌われてきたスタンダードナンバーだが、映画で使われるのは、大滝が亡くなった後、2014年に初公開された大滝本人が歌ったヴァージョンだ。このヴァージョンは今年8月3日に7インチ・シングルでリリースされる。大切な人を強く想う歌詞、そして、美しいメロディーが物語とリンクして胸を打つ。



どこにも自分の居場所を見つけられない、心の傷を抱えた3人の男女。その交流のなかで優太は初めて家族のような絆を感じ、初恋めいた胸のときめきを感じる。松本監督は鋭い眼差しで社会のリアルを見つめながら、自分の力で生きていくことを学び始めた少年の成長を詩情豊かに描き出した。優太の最後の一言、その表情は、映画を観る者の心に深く響くに違いない。絶望の果てに希望を見出そうとする少年の葛藤を描いた『ぜんぶ、ボクのせい』は、この閉塞した社会に生きる私たちの物語。今見るべき日本映画の新たな傑作だ。