セールス・ガールの考現学
Khudaldagch ohin
G
モンゴル
ジャンチブドルジ・センゲドルジ
バヤルツェツェグ・バヤルジャルガル、エンフトール・オィドブジャムツ
オフィシャルサイト
2021 Sengedorj Tushee, Nomadia Pictures


セールス・ガールの考現学

モンゴル映画のイメージを鮮やかに覆す、軽やかで、キュートで、ちょっぴりおかしな成長の物語。



“モンゴル映画”と言えば、草原を舞台にした作品を想起する人が多いはず。 本作はそんな固定観念をひっくり返す、都会に暮らす女の子を主人公にした物語。しかもメインの舞台となるのは、大人のオモチャがところ狭しと並ぶ、街角のビルの半地下にある怪しげなアダルトグッズ・ショップ。ひょんなことからそのショップでアルバイト店員になった、大学で原子力工学を学ぶ、おっとり地味目なヒロイン サロールが、店を訪れるさまざまなタイプのお客たちと接する、フィールドワークさながらな日々の中で、少しずつ世界を広げて成長して行くさまを描きます。



キー・パーソンとなるのは、ショップのオーナーである謎多き中年女性カティア。高級フラットに独り住む彼女のもとに、一日の終わりに売上金を届けに通ううち、サロールとカティアの間には不思議な友情が芽生えることになります。経験豊富なカティアが繰り出す、機知に富んだアドバイスの数々は説得力抜群です。



監督はモンゴル・アカデミー賞常連のセンゲドルジ・ジャンチブドルジ。サロール役のバヤルツェツェグ・バヤルジャルガルは、オーディションで300人の中から抜擢され本作で映画デビュー。2022年大阪アジアン映画祭で、「最も輝きを放っている出演者」に贈られる薬師真珠賞を受賞しました。一方のカティア役、エンフトール・オィドムツは本作で30年ぶりに銀幕に復帰したベテラン。全編を彩る、モンゴルの人気シンガーソングライターMagnolianのヒット曲が、“新しいモンゴル映画”を印象づけるのに一役買っています。