恐怖の報酬【オリジナル完全版】
Sorcerer
なし
アメリカ
ウィリアム・フリードキン
ロイ・シャイダー、cブルーノ・クレメル、フランシスコ・ラバル、アミドウ
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恐怖の報酬【オリジナル完全版】

40 年間封印されていた伝説の超大作。【オリジナル完全版】、日本初公開! 恐 「報酬」は 1 万ドル。一触即発のニトロ運搬に命を賭けた男たちの運命は―。



『恐怖の報酬』(1977)は、『フレンチ・コネクション』(1971) でアカデミー作品賞・監督賞ほか 5 部門受賞、『エクソシスト』 (1973)で全世界にオカルト・ブームを巻き起こした巨匠ウィリ アム・フリードキンが、フランス映画史上の傑作、H=G・クル ーゾー監督の『恐怖の報酬』(1953)のリメイクに挑んだサスペ ンス超大作。ユニバーサルとパラマウントという 2 大メジャ ー・スタジオが、当時破格の 2000 万ドル(現在の 100 億円相 当)以上といわれる製作費を共同出資。ロケは、北米、南米、 ヨーロッパという 3 大陸、アメリカ、フランス、イスラエル、 メキシコ、ドミニカ共和国という 5 か国に及び、2 年を超える 製作期間を費やしてようやく完成した。

クルーゾー版以上に荒々しく、スケール大きなサスペンス場 面が連続するが、中でも巨獣のようなトラックが、暴風雨に揺 れる崩壊寸前の大吊り橋を渡るクライマックスは、手に汗握る 緊張と興奮、迫真の臨場感で見る者を圧倒する。熱帯雨林の生 き地獄を舞台に、男たちの自由への渇望、執念、狂気、裏切り、 欲望と絶望、死の恐怖、罪と罰、そして人智を超えた存在に操 られているかの如き人間の運命というものを、冷酷非情なリア リズムで描き切ったこの作品について、フリードキンは、1 コ マも修正する気にならないほど気に入っている自らの集大成、 と語っている。



『エクソシスト』公開後、フリードキンは、アカデミー賞受賞監督として、また歴史的大ヒット作の監督として、若くして ハリウッド最高の地位と名誉を手に入れていた。同時期、盟友でありライバルと目されていた『ゴッドファーザー』2 部作 (1972/74)のフランシス・フォード・コッポラ監督が、全財産を投げ打って『地獄の黙示録』(1979)に挑んだように、『恐怖の報酬』は、フリードキン自らが企画・製作を主導し、南米の ジャングルで 2 年にわたって雨と汗と泥にまみれ、自らの限界に挑戦した究極の野心作だった。

だが、1977 年 6 月の全米初公開時、批評が賛否に分かれたこと以上に、歴史的大ヒットを続けていた『スター・ウォーズ』 ブームの直撃を受け、興行的に失敗。翌 1978 年に公開された 日本をはじめ、北米以外の国々では、フリードキンに無断で約 解 30 分カットされた 92 分の【短縮版】が配給され、まともに評価されることなく公開は終了。以後、日本では 1980 年代に数回の TV 放送、1991 年のセルビデオ発売を最後に一切見ることが不可能になっていた。出資した 2 大スタジオが互いに興 行的失敗の責任を回避し、作品の権利を積極的に主張しなかっ たことによって、世界的に過去数十年間にわたって上映できない状況が続き、北米以外では DVD も発売されなかった。我が 国では熱狂的なファンが再公開や DVD 化のリクエストの声を上げるも実現せず、オリジナル版を見ることは半ば絶望視されていた。



しかし 2013 年、フリードキンの執念は、複雑極まりない権利問題を解きほぐし、自ら指揮を執って 121 分オリジナル版 の 5.1ch、4K デジタル・リマスター化に着手。同年のヴェネツ ィア映画祭でプレミア上映され、以後、2014 年ロサンゼルス、 2015 年パリ、2016 年カンヌ映画祭、2017 年ロンドンで上映 され、各地で再評価の嵐を巻き起こしてきた。前後してホラー 作家スティーブン・キングは『恐怖の報酬』を「(クルーゾー 版以上に)人生で最も好きな作品」と公言し、また『パルプ・ フィクション』のクエンティン・タランティーノ監督も、自分 が最も好きな 12 本の 1 本に選ぶなど、その作品評価は公開当時とほぼ 180 度変わり、現在も支持者の数を増やし続けている。

そして、『恐怖の報酬』は【オリジナル完全版】として、遂に日本でも真の姿を現すことになったのである。