ウスタード・ホテル
Ustad Hotel
G
インド
アンワル・ラシード
ドゥルカル・サルマーン、ニティヤ・メーノーン、ティラカン、シッディク
オフィシャルサイト

ウスタード・ホテル

親に決められたレールに馴染めず、未来は自らで切り開きたい主人公が、料理を通して家族のとの絆や、地元とのつながりや、貧困などの社会問題にふれて、成長していくストーリーです。インド映画なので、無駄に長く感じるところもありますが、いい話です。インド映画好きな人なら、安心して観れる作品です。観たら、ビリヤニが食べたくなります!



ストーリーに関しては、観ていただくとして。ここでは、ストーリーとほとんど関係ないけれど(いや、もしかしたら何かのメタファーなのかもしれませんが、私には関連がわかりませんでした。ご存知の方がいらっしゃったら、ぜひ教えてください)、おじいさんと関連して登場するスーフィズムに関して、語ろうと思います。

作品の舞台はインドの南にあるケララ州で、割とイスラム教徒が多い地域です。映画のはじめの方で、初めて主人公がウスタードホテルに行くシーンで写真が飾ってあるのを見るのですが、そのうちの一つがスーフィズム(スーフィー思想)のものでした。スーフィーが西洋でもっとも知られているのが、スーフィーダンスというフレアの大きいスカートのようなものを身につけて、くるくるくるくる周り続ける踊りです。その様子が映った写真が飾ってあったのです。



スーフィズムというのは、イスラム教の修行や儀式を行う神秘主義教団のことで、私がスーフィダンス(セマー)を始めて見たのはマドンナの「Bedtime Story」という曲のミュージックビデオでした。(独特の世界観を表現していて、多分当時最先端の技術をたくさん使って製作された大作だと思います。ミュージックビデオの巨匠マーク・ロマネく監督)正統派のイスラム教においては、歌や舞踊を否定する考え方も根強くあるらしいのですが、スーフィーでは音楽と舞踊の儀式によって行う修行もあるので、歌や踊りが大好きなインドのイスラム教徒にはスーフィー信者も多いのだそうです。

アジメールという街が出てきますが、ここはインドの西部にある砂漠っぽい風土のラジャスタン州にあり、インドでは最も重要なイスラム教徒の巡礼地で、スーフィーの聖者が祀られている廟があります。アジメールには南アジアで最大のスーフィー教団の道場があります。アジメールにラクダがいるかどうかわかりませんか、アジメールからさらに西のパキスタンとの国境沿いにあるタール砂漠にはラクダいます。余談ですが、ラクダのまつ毛はとっても長いです。



コロナ世界から現実逃避にはもってこいの心温まるいいストーリーなので、ぜひ劇場にてご覧ください!