先生の白い嘘
本作は、ひとりの女性が抱える「自らの性に対する矛盾した感情」や、男女間に存在する「性の格差」に向き合う姿を描くことで、人の根底にある醜さと美しさを映し出したヒューマンドラマだ。原作は、漫画の連載が開始されるや否や、その衝撃的な内容が口コミで広がり、累計部数 100 万部を突破した鳥飼茜の同名漫画。誰もが目を背けたくなるような歪んだ感情を、痛々しくもリアルに描き切った渾身の一作を禁断の実写映画化。
主人公である高校教師・原美鈴を演じるのは、枠にとらわれない確かな演技力でいま最も注目を集めている実力派女優の奈緒。男女の「性差」を「格差」として振りかざす男性に対して、真正面から対峙する難役に挑み、圧倒的な演技で新境地を魅せる。ジェンダーのタブーに触れる繊細なテーマでありながら、美鈴という役柄に真摯に向き合った奈緒の渾身の演技は必見。美鈴が担任するクラスの男子生徒・新妻祐希を演じるのは、人気グループHiHi Jetsのメンバー・猪狩蒼弥。映画初単独出演ながら、物語の鍵を握る重要な役に大抜擢。強烈なトラウマを抱えた高校生という難しい役を見事に演じ切った。
美鈴の親友・渕野美奈子を演じるのは、数々の話題作で唯一無二の存在感を放つ三吉彩花。地味で控えめな美鈴とは正反対で、男性に依存しながらも見栄を張り、表面を取り繕う美奈子という役で体当たりの妙演で魅せる。そして、美奈子の婚約者の早藤雅巳を演じるのは、風間俊介。早藤はエリートサラリーマンで人当たりも良く社交的だが、裏では女を見下して暴力をふるう猟奇的でサディスティックな二面性を持つ。これまで内面に闇を抱えた役を演じて注目されてきた風間だが、本作では過去に類を見ないほど狂気と憎しみに満ちた役柄で怪演を見せる。
監督を務めるのは、『弱虫ペダル』(20)、『植物図鑑 運命の恋拾いました』(16)など数々の作品を手掛けるヒットメーカーの三木康一郎。脚本は、東京ドラマアウォード2019の優秀脚本賞として「透明なゆりかご」と「きのう何食べた?」をダブル受賞するなど数々の脚本賞を受賞するなど、高い評価を得続けている安達奈緒子。主題歌は、SNSを中心に絶えず注目を集め、現在の音楽シーンを象徴するアーティスト・yamaが本作のために作詞を手掛けた「独白」。美鈴をはじめとする登場人物達の心情に寄り添う楽曲が、作品の終わりに深い余韻を残す。
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