ホテル・ムンバイ
Hotel Mumbai
G
スクリーン 
11/22 - 12/4(予定) 
上映開始日:11/22
上映終了日:スケジュールで確認ください
オーストラリア、アメリカ、インド合作
 
監督:アンソニー・マラス
デヴ・パテル、アーミー・ハマー、ナザニン・ボニアディ、アヌパム・カー
オフィシャルサイト
2018 HOTEL MUMBAI PTY LTD, SCREEN AUSTRALIA, SOUTH AUSTRALIAN FILM CORPORATION, ADELAIDE FILM FESTIVAL AND SCREENWEST INC

ホテル・ムンバイ

インドは隣国パキスタンとイギリスからの独立時からずっと対立しており、3度のインド・パキスタン戦争の後も、大国インドに対してパキスタンのイスラム過激主義が何度もテロ攻撃を行なっています。本作品『ホテルムンバイ』の背景となった2008年のムンバイ同時多発テロに関して、インドとパキスタンの関係に関して少し知っておくと理解が深まると思います。(世界一周:パキスタン

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このムンバイ同時多発テロが起きたのは、両国にまたがるカシミール地方の住民が行き来できるように通行許可書を発行したり、行き交う交通便を増便することなどを含めたインド・パキスタン和平協議が行われていた最中で、このテロで両国間の協議は数年停止しました。このテロはこれまでのテロと異なり、外国人(特に欧米人)を標的としており、高級ホテルやユダヤ教施設が攻撃されました。

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高級ホテルは3カ所攻撃されており、本作品の舞台となったのが、ムガル様式の美しいタージマハールホテルです。海外の5つ星ホテルに対抗できるようなインド資本のホテルをとインドの国産自動車で有名なターター財閥の創設者ジャムセトジー・ターターが設立しました。残りの2つのホテルはどちらもオベロイグループのホテルで、そのうちのオベロイ・トライデントホテルでは、ビジネス出張中だった30代の日本人男性がなくなっています。

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本作品は、インドを題材にした映画ですが、監督はオーストラリア人で、多くの撮影がオーストラリアで行われています。冒頭に出てきたバックパッカーの旅行者もオーストラリア人カップルという設定でした。救助を手伝うホテルマンを演じたのは、インド系イギリス人俳優のデヴ・パテル。2017年のNetflix映画『LION/ライオン 〜25年目のただいま〜』の主人公だと知っていましたが、2008年のダニー・ボイル監督の『スラムドッグ$ミリオネア』のスラム出身の少年ジャマール役を演じた人だったんですね!余談ですが、『LION/ライオン 〜25年目のただいま〜』もインドを題材にしたとてもとてもいい映画でした。

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本作品の大きなテーマは、テロに屈しないこと。そして、自己を犠牲にしても愛するもの、守るべきものを守るということ。その辺りについては、本作品のパンフレットでも詳しく説明されていますので、ここでは別の観点もお伝えしようと思います。

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下の写真は実際のテロの時のインドの特殊部隊のもの、攻撃を受けたあとの状況(怪我している人は写っていません)と、付近を警護する警察官たちの写真です。

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日本語のチラシでは「テロからの奇跡の脱出劇」「無差別テロ」で「惨状と化した楽園を救った5つ星の勇気とは」などと、テロに立ち向かった「名もなき英雄たち」の話という主題のみを大きく打ち出していますが、本作品の監督アンソニー・マラスは、テロと戦うヒーローと絶対的な悪人という構図だけの映画にはしたくなかった、と語っています。

テロリストである若者たちも、私たちと同じ人間で、パキスタンの貧困層の出身でした。それが、なぜこういう事件を起こすことになったのか。作品の中で、テロリストの一人が家族に電話するシーンがありますが、家族がお金を受け取ったか聞いています。泣きながら、愛していると伝えるテロリスト。そこから、首謀者はテロの実行犯の家族にお金を支払うことを約束しており、実行犯は家族を養うためにテロを実行する側面もあるのだということが推測できます。実行犯に指示をする首謀者は、怪我もせず捕まっていません。

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刈谷日劇でも10月に上映していた『世界の涯ての鼓動』もテロの加害者の立場が少しですが描かれています。映画ではありませんが、アメリカのTVドラマ『ホームランド』、Amazonプライムで視聴できる『トム・クランシー』などではテロリストがなぜテロリストになるかわかる内容となっています。

テロは決して許されることではありませんが、テロを起こす人と戦うよりもテロを起こす人を作らないことが一番の解決策だと思います。このような惨劇が繰り返されない世の中になりますように。