過去はいつも新しく、未来はつねに懐かしい 写真家 森山大道
G
日本
岩間玄
森山大道、神林豊、町口覚
オフィシャルサイト
「過去はいつも新しく、未来はつねに懐かしい 写真家 森山大道」フィルムパートナーズ


過去はいつも新しく、未来はつねに懐かしい 写真家 森山大道

いま、明らかになる孤高の天才の素顔。写真市場、最大の謎に迫る。前人未到のドキュメンタリー。



(もりやま・だいどう) 1938年大阪生まれ。岩宮武二、細江英公のアシスタントを経て、1964年独立。写真雑誌などで作品を発表。1967年「にっぽん劇場」で日本写真批評家協会新人賞受賞。1968年から1970年にかけて写真同人誌「プロヴォーク」に参加。ハイコントラストや粗粒子画面の作風は〝アレ・ブレ・ボケ〟と評され、写真界に衝撃を与える。



岩間玄(監督・撮影・編集)

1968年、森山大道さんは1冊の写真集で鮮烈なデビューを飾りました。

この年は、プラハの春、ベトナム戦争、キューブリック監督作『2001年宇宙の旅』公開、キング牧師暗殺、パリ5月革命、アポロ7号打ち上げ、ザ・ビートルズ『ホワイトアルバム』リリース、学生運動の激化など、さまざまな事件が起きました。騒乱と混沌に彩られた激動の1年だったのです。

森山さんもまた、先鋭的なスナップショットで写真界に大きな衝撃を与えました。画面が荒れ、被写体がぶれ、ピントがボケた衝撃的な作品群は、それまでの常識を根底から覆すものでした。



「こんなものは写真じゃない」と写真家たちが激怒する一方、「いや、これこそぼくたちが求めていた本当の写真だ!」と若者たちからは圧倒的に支持されました。彼は写真界のスーパースターとなり、多くの信奉者や模倣者を生みました。つまり時代の寵児になったわけです。

しかし森山さんと写真を巡る物語は、そう単純で生易しいものではありません。賛否両論、絶賛から批判へ転じる時代の気まぐれ、信じられる友人との宿命的な出会いと別れ、不安、迷走、孤独、混乱。森山さんは表現者として何度も危機を迎えました。

けれども森山さんは、どんな時でも決して写真を手放そうとはしなかった。絶望的に追い詰められても、写真そのものをあきらめることはなかった。1枚も撮れない日でも、写真のことを考えて、考えて、考えて、考えて、考えつくして、満身創痍になってもなお、何度でも写真の世界に戻ってくるのです。