浜の朝日の嘘つきどもと
G
日本
タナダユキ
高畑充希、柳家喬太郎、大久保佳代子、甲本雅裕
オフィシャルサイト
2021「浜の朝日と嘘つきどもと」製作委員会


浜の朝日の嘘つきどもと

福島県・南相馬にある映画館「朝日座」に、茂木莉子と名乗る女性が現れる。経営が傾いた「朝日座」を立て直すために東京からやってきたというが、支配人・森田保造は突然のできごとに驚きを隠せない。すでに閉館が決まり打つ手がないと諦めていた森田だが、見ず知らずの莉子の熱意に少しずつ心を動かされていく。 かくして、「朝日座」存続のために奮闘する日々が始まった――。



脚本・監督はタナダユキ。2004年、フォークシンガーの高田渡を追ったドキュメンタリー映画『タカダワタル的』が東京国際映画祭に特別招待作品として上映され、さらに同年、劇映画『月とチェリー』が英国映画協会の「21 世紀の称賛に値する日本映画 10 本」に選出され、大きな話題となった。2008年脚本・監督を務めた『百万円と苦虫女』で日本映画監督協会新人賞を受賞。その後も映画『俺たちに明日はないッス』(08)、『ふがいない僕は空を見た』(12)、『四十九日のレシピ』(13)、『ロマンス』(15)、『お父さんと伊藤さん』(16)、『ロマンスドール』(20)を発表。テレビドラマや配信ドラマでも数多くの作品を世に送り出し、CMやミュージックビデオなどの演出も手掛けている。今作では、実在する映画館を舞台にオリジナル脚本を執筆し、自らメガホンを取った。



経営が傾いていた映画館「朝日座」を立て直すべく、地元住民と共に奮闘する主人公・茂木莉子を演じるのは、『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』(18)で第 43 回日本アカデミー賞・優秀助演女優賞を受賞し、映画やテレビドラマ、舞台などで幅広く活躍する国民的女優・高畑充希。タナダ監督と初タッグとなる今作では、溌溂とした性格だが、大胆な行動の裏に繊細な心情をあわせもつ人物像を、丁寧な芝居で魅せてくれる。

朝日座の支配人・森田保造に、今最もチケットが取れないと言われる落語家の柳家喬太郎。莉子の高校時代の恩師・田中茉莉子には、様々なバラエティ番組で人気を博し、テレビドラマや映画での演技の評価も高い大久保佳代子。二人の活き活きとした芝居が、スクリーンに説得力とユーモアを添える。共演陣には、甲本雅裕、佐野弘樹、神尾佑、竹原ピストル、光石研、吉行和子という実力派俳優が集結した。



今作の舞台となったのは、福島県南相馬市に実在する映画館「朝日座」。1923年(大正12年)7月2日に芝居小屋・常設活動・写真小屋「旭座」として開館。開館時には坂東勝三郎、中村翫十郎の一座により「旭座舞台開き」が行われ、地方回りの芝居が上演される中、無声映画も数多く上映され、多くの地元住民が足しげく通い、大衆文化の殿堂として賑わいを見せた。
様々な災禍を免れ、戦後、映画全盛の時代となった1952年(昭和27年)に「朝日座」へ改名。長年、街の人々の暮らしに寄り添い、数多くの思い出を育んでいる。

東日本大震災・福島の原発事故からちょうど10年。映画館を取り巻く時代も変わり、今般のコロナ禍の影響も大きい。