リコリス・ピザ
Licorice Pizza
PG12
アメリカ
ポール・トーマス・アンダーソン
アラナ・ハイム 、クーパー・ホフマン、ショーン・ペン、トム・ウェイツ
オフィシャルサイト
2021 Metro-Goldwyn-Mayer Pictures Inc. All Rights Reserved.


リコリス・ピザ

ポール・トーマス・アンダーソン監督(PTA)が好きな人、70年代の西海岸が好きな人は、思いっきり楽しい作品です。今年は、カラックス、PTAと大好きな監督の新作が映画館で見れて幸せ♪

ありそうな恋愛映画かと思いきや、PTAらしいキャラクターが独特なところ、そのキャラクターに面白い配役をするところ(ブラッドリー・クーパーが出てること知らなかったので、ブラッドリー・クーパーのクレージーさに嬉しい驚き! こういうところ、まさしくPTAだなぁと。PTAのこういう配役で一番好きなのは、『マグノリア』のトム・クルーズです。)、とにかくPTA色っていうのが滲み出ている作品でした。



ゲーリー役の子、大好きな俳優フィリップ・シーモア・ホフマンを彷彿とさせるなぁ、こういう感じの役者はフィリップ・シーモア・ホフマンしか好きじゃないのに、フィリップ・シーモア・ホフマンが好きというだけで似た雰囲気の役者まで好ましく思うのかなぁと思っていたら、(鑑賞後)彼がフィリップ・シーモア・ホフマンの子供だと知り、PTAとホフマン、今回は息子ホフマンが主演かぁと、嬉しさと驚きと納得と感銘などが混じり合った気持ちと、『ブギーナイツ』(最初のPTAとホフマン)から経った時間を振り返り不思議な気持ちになりました。

リアル70年代の『WANDA』を観た時も思ったけれど、70年代を生きた人たちの感覚は今の感とは違っていて理解はできないかもしれないけど、映画を通じてこういう時代だったんだなぁというのは伝わってきて、ゲーリーみたいな感じのハリウッド業界にいるティーンエイジャーがいて、アラナみたいな地に足ついてないフラフラした女の子もいて、15歳と25歳が恋愛するってこと(つまり、型にはまっていないこと)がおかしいことでもない時代だったらしい。



それに70年代じゃなくても、誰だって「若い頃」は思いついたアイデアを深く考えずやってみたり、あっちフラフラこっちフラフラしたんじゃないかなー。少なくとも、私はそうだった。そして、恋愛ってタイミングだよなっていうような友情と恋の間でフラフラした関係も、うん、あったなぁとしみじみ。そういうしみじみ感がじわじわとやってくる作品、やっぱり、PTA最高!

音楽もPTA作品には馴染みのレディオヘッドのジョニー・グリーンウッド。気になるタイトル『リコリス・ピザ』は、PTAが若い頃に南カリフォルニアにあったレコードチェーン店の名前らしく、それをタイトルにするところもまたPTAと、PTAによるPTA好きに向けるPTA作品でした。(ちなみにリコリスっていうのは、アメリカ人が大好きな黒いゴムのようなお菓子。つまり、リコリス=黒 ピザ=円板の形 リコリス・ピザ=レコードってことらしいです。)



インスタの答え合わせ;ディカプリオのお父さんは、ウォーターベッドをゲイリーに売るおじさん。PTAの娘は、ジャック・ホールデンがいるときに、ゲイリーと一緒にレストランに来た女の子でゲイリーの横に座った子、スピルバーグの娘は「小さな足の子」の役。

ブラッドリー・クーパーが演じたジョン・ピーターズは、実在の人物で当時バーバラ・ストライサンドと付き合っていて、「スター誕生」のプロデューサー。スター誕生のリメイク「Ally」を監督したブラッドリー・クーパーと繋がっています。ホフマンが演じた役は、ゲイリー・ゴッツマンという人がモデルで、18人兄弟設定のドラマで子役をしていたこと、ウォーターベッドを打ったことやピンボールのお店を開いたこと、さらにはジョン・ピーターズにウォーターベッドを打ったことはゲイリーの実話なのだそうです。他にもジェエル・ウォッチも実在の政治家(ここは、Milkのショーン・ペンと繋がります)ショーン・ペンが演じたジャック・ホールデンのモデルはウィリアム・ホールデンで、トム・ワッツ役のモデルはジョン・ハドソン。