ボイリング・ポイント 沸騰
Boiling Point
G
イギリス
フィリップ・バランティーニ
スティーブン・グレアム、ジェイソン・フレミング、レイ・パンサキ、ハンナ・ウォルターズ
オフィシャルサイト
MMXX Ascendant Films Limited


ボイリング・ポイント 沸騰

(カットせずにカメラを回し続ける)ロングショット好きとしては、(最初から最後までカットがない)ワンショットで撮影された映画と聞いたら、観るしかない! 90分のワンショットね、さぁ、観せてもらおうか?っていう意気込みで観ましたよ。そしても、もうなんというか、懲りずにあれやらこれやら次々にいろんなことが起きてきて、飽きさせないというよりも、もはやホラー。



ワンショットの技術的なことを語ると、フィルムで映画を撮影していた時には、物質的にフィルム1本(15分くらいだと思います)をとり終わったら、フィルムを変えなければならなかったので、90分ワンカットなんてことはできなかったのが、デジタルになってできるようになりました。カメラだけでなく、ライト(が、映らないようにしながら、適切な明るさ)を調整したり、音響(これもマイクが映らないようにしつつ、レストランのいろんなところに)設置しなきゃだったり、と通常の撮影とかなり違ったと思います。



ワンショットの撮影の凄さはさることながら、動線切らすことなくレストラン業務をバックヤード、調理人、バー、ホール、客席とスムースに見せていく脚本もすごい! 薬やアルコール依存者、自傷行為しちゃう若者など、レストランと関係なく問題抱えていそうな人たちに始まって、労働環境問題、パワハラ、男性優位社会の歪みなどレストランの問題や、露骨な人種差別、クレーマー、セクハラ、SNSのインフルエンサー(って、3万人のフォロワーでもインフルエンサー?ただのインスタグラマー?)などの嫌な客たちのオンパレードで、観ているだけでかなりストレス。



ストレスフルなんだけど、カメラは止まらずいろんなことがてんこ盛り。観終わって、ふぅっと一息ついた時の気持ちは、ジェットコースターが元の乗り場に到着した時の気分。ジェットコースターと同じく人によって「おもしろかった」と「スリリングだった」の度合いが違うかなと思いますが、一見の価値ありです!ぜひスクリーンにてジェットコースター気分を味わってください。