GOLDFISH
G
日本
藤沼伸一
永瀬正敏、北村有起哉、渋川清彦、町田康
オフィシャルサイト
2023 GOLDFISH製作委員会


GOLDFISH

デビュー42周年を迎えたパンクバンド“亜無亜危異”のギタリスト、藤沼伸一が自身のすべてをモチーフにしたという本作は、カート・コバーンの自殺を機に多く語られるようになった「27クラブ」や、人生の折り返し地点を迎えた年代に、自分の人生を問い直すことでアイデンティティが揺れ、深刻な心の葛藤が起きる「ミッドライフクライシス」など、ロッカーだけではなく多くのミュージシャンやアーティストに襲いかかる「死の波」を泳ぐ金魚のような者たちの苦悩を描く。藤沼監督も自身のバンドメンバーを亡くしているが、その経験こそが映画を撮るという新しいことを始めるきっかけを与えてくれたと語るように、観る者に自分自身と向き合うことの大切さ、そして希望を見出してくれる物語でもある。



主演は『あん』(15)、『パターソン』(16)、『光』(17)でカンヌ国際映画祭に3年連続で公式選出された初のアジア人俳優となった永瀬正敏。自身もパンクバンドを組んでいたという永瀬が、音楽を続けながらもくすぶった思いを抱える主人公イチを見事に演じている。自身との葛藤に悩むハルを北村有起哉、ムードメーカーのアニマルを渋川清彦、増子直純(怒髪天)、松林慎司が演じるバンドメンバーの雰囲気もいい味を出している。破滅の世界へと引きずり込む死神のような男(バックドアマン)を町田康が不気味に演じ、ハルを支える彼女の有森也実の切実な姿も印象に残る。藤沼は音楽も担当し、脚本は2年をかけてアイディアを出し合い、『宮本から君へ』(19)、『MOTHER マザー』(20) 、『とんび』(22)の港岳彦に朝倉陽子が加わり共に作り上げた。「あの頃はよかった」と戻れない過去にすがる者や、自分を見失い不安を抱える老若男女にガツンと一石を投じる骨太な物語が完成!



<ストーリー>

「心の銃を使って戦って行くのさ」 ロックと出会ってしまった奴らに襲いかかる死の波一。



80年代に社会現象を起こしたパンクバンド「ガンズ」。人気絶頂の中、メンバーのハル(北村有起哉)が傷害事件を起こして活動休止となる。そんな彼らが、30年後にリーダーのアニマル(渋川清彦)の情けなくも不純な動機をきっかけに、イチ(永瀬正敏)が中心となり再結成へと動き出す。しかし、いざリハーサルを始めると、バンドとしての思考や成長のズレが頭になっていく。躊躇いながらも、音楽に居場所を求めようと参加を決めたハルだったが、空白期間を埋めようとするメンバーたちの音も不協和音にしかならず、仲間の成長に追い付けない焦りは香々に自分自身を追い詰めていった。そして、以前のように酒と女に溺れていったハルの視線の先に見えてきたものはーー