コロンバス
Columbus
なし
アメリカ
コゴナダ
ジョン・チョウ、ヘイリー・ルー・リチャードソン、ミシェル・フォーブ、ローリー・カルキン
オフィシャルサイト
2016 BY JIN AND CASEY LLC

コロンバス

「静」と「動」どちらかと聞かれれば、間違いなく「静」の作品です。モダニズム建築の宝庫のようなアメリカのインディアナ州にあるコロンバスという小さな街で、母と娘、父と息子という2組の親子を通じて描く家族の形と、建築物がつないだ2人の子たちの話です。

エーロ・サーリネンによって設計されたミラー邸は、インテリア・デザイナーのアレキサンダー・ジラードによる内装(下記写真左。クッションのファブリックもジラードのものです!)と、家からの景色も重要だという考えで住宅庭園を設計したダン・カイリーの庭(下記写真右)も見事です。



建築物が好きな人は、建築物が丁寧に撮影されているので、その映像を見るだけでも価値がある作品です。モダニズム建築の建物がたくさんできますが、モダニズム建築と言われてピンとこない方も、日本にあるモダニズム建築の代表的なフランク・ロイド・ライトの帝国ホテルや、ル・コルビュジェ建築の国立西洋美術館、丹下健三の東京都庁、黒川紀章の中銀カプセルタワーなどは、なんとなくわかるのではないでしょうか。



ある建築物のあるシーンに出会って、座って黙ってずっとその建物を観ながら、その時の心にある深い悩みと対峙しながら、しばらく 瞑想するような境地になる、そういう経験ってないですか?人によったら、海や山など自然のものを見たとき、もしくは公園で遊んでいる親子を眺めて感じることかもしれません。

私は、元々建築物が好きだからかもしれませんが、私はお寺の庭や、立体に交わる高速道路や、変わった形の屋根の曲線に惹かれて、眺めて過ごすことで心の中にある色々な想いと向き合うことがあるので、「建築には人を癒す力がある」という台詞は、ちょっと理解できます。



本作品を観ているとき、なぜこんなに日本映画を彷彿とさせるんだろうと不思議に思ったのですが、鑑賞後本作品が小津安二郎に捧げられたオマージュと知り、納得しました。カメラのアングルや間の取り方などが、言われてみればとても小津安二郎的で、そういうのを取り入れるだけですごく日本的に感じるというのは新鮮でした。