最悪な子どもたち
Les pires
PG12
フランス
リーズ・アコカ ロマーヌ・ゲレ
マロリー・ワネック、ティメオ・マオー、ヨハン・ヘルデンベルグ、 ロイック・ペッシュ
オフィシャルサイト
Eric DUMONT - Les Films Velvet


最悪な子どもたち

ある夏の日、フランス北部の荒れた地区を舞台にした映画が企画され、地元の少年少女を集めた公開オーディションが開かれる。選ばれたのは、異性との噂が絶えないリリ、怒りをコントロールできないライアン、心を閉ざしたマイリス、そして出所したばかりのジェシーの4人のティーンエイジャーたち。出来上がったシナリオは、彼ら自身をモデルにした物語だった。なぜ問題児ばかりが主役なのか? 監督の狙いとは? 住民たちが訝しむなか、波乱に満ちた撮影が始まり、予想外の展開が訪れるのだが……。

「映画の登場人物」を演じることで「自分自身」と向き合うことになったライアンたち。はじめての体験に格闘し、違う世界に飛びこむことで、彼らのなかの何かが少しずつ変わっていく。



カンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリ! オーディションで数千人の子どもたちと向き合った経験をもとに描いた、 元キャスティングディレクターと演技コーチの経歴をもつ 監督ふたりの長編デビュー作。

第75回カンヌ国際映画祭で、日本映画『PLAN 75』(早川千絵監督)や今年公開の『Rodeo ロデオ』(ローラ・キヴォロン監督)、『青いカフタンの仕立て屋』(マリヤム・トゥザニ監督)を抑えて「ある視点」部門で見事グランプリに輝いた話題作がついに日本上陸する。

「知性と感情の両方に訴えかける傑作」「映画制作のモラルを問う真摯な作品」と絶賛された本作の監督は、キャスティングディレクターや演技コーチとして多くの若者と接してきたリーズ・アコカとロマーヌ・ゲレからなる新進監督コンビ。

かねてより「なぜ映画というジャンルが、過酷な環境で生きる子どもたちに惹かれカメラを向けようとするのか?」と関心を持ったことが本作企画の始まりで、長期にわたる取材やキャスト探しを経て、実体験を活かした初長編となる本作を完成させた。世代や文化の違いから生じるハプニング満載の展開で観客を楽しませると同時に、映画が個人やコミュニティにもたらす影響、作り手の倫理、社会格差といったテーマを鋭く突きつける。



現実とフィクションを行き来する子どもたちの奇跡的な演技。

主人公の子ども4人を演じるのは、実際に撮影地の学校や児童養護施設でのオーディションに参加し、選ばれた演技未経験の子どもたち。作中では、はみ出し者のレッテルを貼られた主人公たちが、映画の現場でさまざまな壁にぶつかりながら、自身の新たな可能性を発見していく過程を全身で体現する。特に主人公らが演技の才能を開花させるシーンは圧巻で、役と重なるキャスト本人の出演経緯も相まって、観る者の心を捉えて離さない。

一方、アート系映画監督の役に扮するのは『ユダヤ人を救った動物園 アントニーナが愛した命』『オーバー・ザ・ブルースカイ』などでの名演で知られ、劇作家・映画監督としても活躍するヨハン・ヘルデンベルグ。芸術表現の追求と大人の責任の間で揺れる複雑なキャラクターを人間味豊かに演じる。