Mothers マザーズ
本作は、5名のプロデューサーによって制作されたオムニバス映画です。
それぞれ、「脚本家」という仕事をしています。
発起人である難波望、そして、たかはC、進藤きい、高橋郁子、武田恒(参加順)。
さらに企画の初期段階から野田麗未監督にも加わっていただき、共に進めてきました。
通常、脚本家は撮影現場には参加しません。
ですから、映画制作に精通してないメンバーも少なくありません。
それなのに、なぜ映画を創ろうと思ったのか。
その経緯を簡単にお話していきます。
企画のはじまり
わたし(総合プロデュース:難波)は、これまで脚本や企画書、プロットなど映画やドラマの企画に携わるかたわら、さまざまな場所で脚本講座などの講師として活動してきました。
また4年間にわたって脚本家チームの運営・マネジメントに携わってきました。
そのなかで脚本、脚本家について多くのことを感じてきました。
脚本は、それのみで作品として広く世に出せるものではありません。
まずは脚本家として起用され、無事に制作され、作品が公開に至らなければその労力も情熱も日の目を見ることはありません。
これまでの日々のなかで、映画やドラマ制作に憧れて脚本家を目指し、出会いや仕事に恵まれずにペンを置いていった人たちとも数多く出会ってきました。
「あの人の書いた脚本、めちゃくちゃ良かったのにな」
そんなことを感じながら背を見送ったことも何度もあります。
そして近年、膨らんでいたひとつの想い。
「自ら脚本を書く映画監督がこれだけ多いのだし、自身で製作や監督をする脚本家がもっと現れてもいいのではないだろうか」
素晴らしい原作を得て脚本を書くことは脚本家としての仕事の醍醐味である一方で、脚本家が中心となって自身のオリジナル脚本を作品化していく動きがもっと増えてもよいのではないか、という想いが日増しに大きくなっていきました。
多くの脚本家がデビューするまでに何十、何百という習作を書いています。なのに、仕事となると途端に脚本家発信でオリジナル作品を書く機会はごくわずかとなります。
待っていても、状況は変わりません。脚本家自身がオリジナル脚本を作品にしていくささやかなムーブメントを起こしたい。わたしはそう思いました。
もちろん、脚本家として指名されてお仕事をさせて頂けることはとても幸せなことです。
でもそれとは別に、「脚本家自身が発信していく映画創り」がきっと新たな希望や可能性を生むことができると信じています。
今回は、覚悟を持って脚本家一人ひとりが自身の財布から制作費を絞り出して作品を創りました。ご覧いただく皆さまには、作品そのものを楽しんで頂きつつ、それぞれの脚本家の想いも受け取って頂けることを願っています。
総合プロデュース 難波 望
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