アメリカの闘う女たち

女が着飾るのは、女という性を「武器」にする時かもしれないけれど、女が闘う時に着飾るとすれば、それは着飾ることで自分を奮い立たせ、着飾ることで自分を守る「鎧」にするため。映画『ハスラーズ』は、その武器と鎧の両方をまとって、女性たちが協力して女を搾取してきた男たちと闘うストーリです。

女が自分のために着飾る時、それは自分へのご褒美。好きなものを買い物をするのも頑張った自分へボーナスで、女友達とのホームパーティは安らぎでもあり救いのようなものなのです。

『ハスラーズ』では、リーマンショックで経済が大きく傾き、その煽りを食ったのがウォール街で働く男たちが主な顧客だったストリップクラブのストリッパーたち。派手な世界のように見えますが、主人公の2人が稼がなければならない理由は家族。子供や育ててくれた祖母を養うために選んだ職業なのです。

リーマンショックが貧困層の労働者に与えた影響と、リーマンショックを引き起こしたであろう金融業界の人たちが罰せられていないという事実に対するメッセージのようなものあって、コロナウィルスの影響でリーマンショックの時以上に経済に大打撃を与えるだろうと言われている今だけに、彼女たちのような労働者がこの先どうなるのか不安に思います。



一方『スキャンダル』は、エスタブリッシュメントと呼ばれる既得権層(既存の体制で権力をもつ支配層)の女性の話です。アメリカで最大の視聴率を誇るニュースチャンネルの花形ニュースキャスターやその地位を目指すエスタブリッシュメントの女性たちは、大した学歴も職歴もない『ハスラーズ』のストリッパーの女性たちの反対側にいるようにみえるかもしれません。

けれども、社長から短いスカートを履けと強要され、スカートをあげて足を見せろとセクハラされ、忠誠心を証明してみせろと言われ、リーマンショック後のストリッパーの女性たちが受けたものと同じ屈辱を味わわされることとなります。

『ハスラーズ』の女性たちと『スキャンダル』の女性たち、反撃の仕方は違いますが、どちらもそれぞれがやれる方法で、彼女たちの尊厳を傷つけた男とたちと闘ったのだと思います。



下記は『スキャンダル』のシャーリーズ・セロン、ニコール・キッドマン、マーゴット・ロビーのオフセットのショットです。シャーリーズ・セロンはこの脚本をみて自らプロデューサーとなり製作を実現化させました。ニコール・キッドマンも保守的なハリウッドの映画界で男女の役者の間に差があることを訴え続け、女性監督の作品になるべく出演するように心がけているそうです。

『ハスラーズ』の主演ジェニファー・ロペスは、『ハスラーズ』のプロデューサーでもあります。他にも女性同士のカップルが子育てを行う『フォスター家の事情(全5シーズン)』とそのスピンオフ作品『Good Trouble』の製作総指揮を務めています。なくなった同性愛者だったおばさんに観てもらいたかった作品なのだそうです。たくさんの女性が、いろんな形で闘っているのだと思います。



闘う女たちの作品レビューはこちらから
ハスラーズ
スキャンダル